大阪高等裁判所 昭和38年(ネ)1830号 判決 1965年2月16日
株式会社兵庫相互銀行
理由
一、被控訴人主張の事実中、被控訴銀行が、訴外有限会社尾花石油店に対し、被控訴人主張の頃、主張の如き約定で、金五〇〇、〇〇〇円を貸与したことは、控訴人長浜将二との間では当事者間に争がなく、控訴人伊藤只雄、同忠との関係においては(証拠)を総合すれば、たやすくこれを認めることができ、これに反する証拠は何もない。
二、そこで次に、控訴人らの連帯保証の有無について考えてみるに、訴外有限会社尾花石油店と控訴人長浜将二の作成部分については、その成立に争がなく、その余の部分については、控訴人伊藤只雄同忠名下の各印影が、それぞれ右両名の各印章によるものであることを、控訴人らも認めていることと、(証拠)を総合すれば、被控訴銀行は、昭和三三年三、四月頃、訴外有限会社尾花石油店の代表者たる控訴人長浜将二から融資の申込を受け、前記のように、同年五月三〇日訴外会社に対し、金五〇〇、〇〇〇円を貸付けることになつたものであるが、右貸付に当り被控訴銀行は、同銀行の調査員藤本勝次をして、同年五月二六日頃、さきに訴外会社から連帯保証人該当者として届出のあつた控訴人伊藤只雄、同忠の両名に面接の上、それぞれ貸付金額、借受人を明らかにして、連帯保証の意思を調査、確認せしめ、その後同年五月三〇日藤本勝次が、甲第一号証の借用証書に借受人およびその連帯保証人らの署名、押印を貰うべく、株式会社尾花石油店の小野営業所に出向いたところ、控訴人伊藤只雄、同忠の両名とも同営業所に居合せてはいたが、もつぱら借受人たる訴外会社の代表者であり且連帯保証人の一人でもある控訴人長浜将二が、同所の二階でその衝に当り、同人において右甲第一号証の借用証書の債務者および各連帯保証人欄に、それぞれ右訴外会社、その代表取締役長浜将二ならびに各控訴人らの記名判とその印章を捺印の上、これを藤本勝次に手交し、その結果前記のように金五〇〇、〇〇〇円が貸与されるに至つたものであることを認めることができ、しかして右認定事実によれば、控訴人ら三名は、いずれも右訴外会社の被控訴銀行に対する前記貸付金債務につき、右訴外会社と連帯してこれを保証したものと認めるのを相当とし、各控訴人本人尋問の結果中右認定に反する部分は、前掲の各証拠に照らしてたやすくこれを信用することはできないし、他に右認定を左右し得るような証拠もない。
三、してみれば、上記認定の貸金に対し、その後控訴人らから、元金のうち金一五三、〇〇〇円と昭和三五年二月一六日までの利息金の支払があつたとして、連帯保証人の控訴人らに対し、残元金三四七、〇〇〇円とこれに対する昭和三五年二月一七日から右完済に至るまで日歩五銭の割合による約定遅延損害金の支払を求める被控訴人の本訴請求は、いずれもその理由があり、したがつてこれを認容した原判決は相当にして、本件控訴は、いずれも失当たるを免れないから、これを棄却。